初めの検査は症状があったので、そのためのCT検査は妥当だと思いますが、その後、短期間の間に、頭部に複数回行われたCT検査に正当性があったのか、気になるところだと思います。救急ということであれば、仕方のない面もあるのかもしれませんが、もう少し、減らせなかったのかと思うのが人情だと思います。
まず、やはり、専門家の見解が大事ですので、医療被曝に対して、二つほど本を紹介したいと思います。初めの本は複数の医師が各章を担当して書かれた本で、二つ目の本は放射線科の近藤誠さんの著書で、どちらも参考になると思います。
受ける?受けない?エックス線CT検査―医療被ばくのリスク
放射線被ばく CT検査でがんになる
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日本では、医療被曝の低減化の取り組みが遅れているのが現状かもしれません。WHOの環境と健康局で放射線プログラム専門科学官をつとめた長崎大学の山下俊一教授は、日本のCTの使用にガイドラインが必要だとして、検査被曝に関して注意喚起を行っています。
N. Ghtobi, M. Morishita, A. Ohtsuru, S. Yamashita (2005). "Evidence-based guidelines needed on the use of CT scanning in Japan".
JMAJ 48 (9): pp. 451-457
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山下らの論文には、「X線の最低線量に対して合理的に信頼できる癌リスク増加の証拠が10から50mGyの範囲で存在する」(the lowest doses of X-rays for which reasonably reliable evidence of increased cancer risk exists range from 10 to 50mGy)とあります。山下らは論文で、日本の検査被曝などの医療被曝における線量が他国に比べて数倍大きく、ガイドラインの必要性を説いています。日本は集団検診などによって、胸部X線検査が半ば強制的に行われており、結核予防法の廃止などに伴い、その検査の必要性の見直しも行われてきています。
定期健康診断における胸部エックス線検査等の対象者の見直しについて
繰り返される腱炎
さらに、山下教授らは、日本の癌検診におけるPET/CTについて、その被曝の妥当性について検討した論文も発表されています。
Cancer Screening with Whole-body PET/CT for Healthy Asymptomatic People in Japan: Re-evaluation of its Test Validity and Radiation Exposure". APJCP 8: p. 4.
論文から一部意訳しますと、50代において見積られたPET/CTに基づいた癌検診の陽性的中率は余りにも低すぎ、それではスクリーニング目的のための許容範囲に入らないとして、多くの人がなんのベネフィットもなく、一回の検査あたり少なくとも6.34mSvの実効線量を被曝しているとして、日本のCT検診による被曝の正当性に疑問を呈しています。
『In conclusion, the estimated positive predictive value of cancer screening based on PET/CT technology in the 50-59 year-old Japanese population is not at an acceptable range for screening purposes, and a large majority of volunteers are exposed to an effective radiation dose of at least 6.34 mSv per examination without getting any real benefit.』
アメリカでは、医療被曝の問題の取り組みが日本よりも進んでいて、IAEAと連携して、とくに小児への医療被曝を減らすための努力が行われています。
IAEAは小児への不必要な線量の低減に取り組む
投稿日時 - 2011-09-20 04:02:21
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