こちらのコーナーは院外報を一部抜粋して載せています。「Tタイム」のTはTAKEDAとTEAからとりました。診療の待ち時間やくつろぎの時間などになどにゆったりっと読んで頂きたいと名付けられました。
今回は「強迫性障害」について解説します。
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強迫性障害 (OCD)
強迫性障害は以前強迫神経症とも呼ばれていましたが"神経症"という概念が世界的に使用されなくなり、強迫性障害と呼ばれるようになりました。強迫性障害の症状として強迫観念と強迫行為があげられます。ほとんどの場合両者が認められますが、どちらか一方のみの患者さんもいらっしゃいます。昔は非常に治療が困難な病気でしたが、現在では薬物療法や、行動療法などを組み合わせてかなりのレベルまで治るようになってきました。
■強迫観念とは?
嫌なイメージや思考、思い出などが自分の意思に反して何度も繰り返し感じられるもので強い不安や嫌な思いを伴います。たとえば・・・
鍵はきちんとかけただろうか、火は消しただろうか、手に汚いものがついたままじゃないかなど、不安になり、いてもたってもいられなくなります。
患者さん自身が「心配しすぎでは?」「周囲の人が見たら、なんでそんなことを悩んでいるのだろうと思われる」などと感じています。これが、強迫性障害を見分けるときの一つのポイントになります。
しかし、強迫性障害の患者さんは他人から自分がどう見えるかは分かっており、頭がおかしくなってしまったわけではありません。
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■強迫行為とは?
強迫観念から生じる不安や嫌な思いを振り払うために行う儀式のような行為のことです。非現実的であり、何度も繰り返され、苦痛を感じます。患者さんは「なんでこんなことをしなければいけないのだろう?」と考えながらやりますが、この行為をすることで強迫観念から生じる不安や嫌な思いは軽くなります。たとえば・・・
何度も長時間手を洗ったり、何度もシャワーを浴びたり風呂に入る、鍵が閉まっているか何度も確認してしまう、など。普通の人であれば、一度確認して大丈夫であれば安心するわけですが、強迫性障害の患者さんは一度確認しても「でもやっぱり…」と不安になり、何度も同じことを繰り返したり、特定の順序で物事を行わないと不安になります。
そしてこの確認回数や方法が除々にエスカレート していきます。確認の回数が極端に多くなり、長時間かかったり、確認の方法が周囲からすると理解できないようなものであったり、ついに外出できなくなったり、日常生活に支障をきたすようになります。また、逆に自分自身で処理しきれない不安を振り払うために、家族などの身近な周囲を巻き込み、強迫行為を手伝わせようとする場合もあります。
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■治療
最も一般的な療法は薬物療法と精神療法の併用です。 強迫性障害の方は脳内の神経ネットワークに使われる神経伝達物質の一種であるセロトニンの働きが弱いのではないかといわれています。
セロトニンは脳内の情報を神経細胞から神経細胞へ伝達する役割を担っていますが、強迫性障害の場合、神経細胞から放出されるセロトニンの働きに何らかの問題が生じて、十分な情報の伝達が行なわれず、機能異常が生じると考えられています。このため、セロトニンの働きを増加させる薬物を用いて治療を開始します。
■薬物療法
薬物療法に使われる代表的な薬剤をいくつか紹介します。- クロミプラミン(商品名:アナフラニール)
もともと、うつ病の治療に用いられてきましたが強迫性障害にも有効であると分かってから使われるようになりました。副作用として口が渇く、立ちくらみ、便秘などがあります。 - フルボキサミン(商品名:ルボックス、デプロメール)
脳内のセロトニンのみを増加させる薬で、SSRIと呼ばれています。わが国ではうつ病と強迫性障害に効果があると認定されて使われている薬です。副作用として吐き気などがあり、吐気止めを併用することがあります。 - 抗不安薬
上記の薬と併用してその場での不安を軽減させるために用いています。様々な種類がありますので患者さんに合わせて用い� �ことが出来ます。
※薬物治療を受けるにあたって
強迫性障害に使用される薬は内科などで処方される薬と異なった特性があります。そこで、薬についてもよく理解しておくことが治療をスムーズに進めるために重要になります。
強迫性障害の薬は効き目が現れるまでに時間がかかります。ですから、服用を始めてもすぐに症状が改善されるというものではありません。長い場合には、2カ月くらい同じ薬を飲み続けて効果が現れることもあります。
また、副作用を心配して自己判断で薬を飲むことをやめてしまう患者さんがいますが、自己判断で「この薬は効かないし、辛い」と止めてはいけません。途中で服薬を止めてしまうことは、症状を悪化させたり、治療を長引かせる原因にもなります。副作用がでたと思われる場合には、すぐに医師に相談しましょう。強迫性障害は、あせらずゆっくり取り組めばよくなることが多いと言われています。
医師の指示通りに、ゆとりを持って治療に取り組むことが大� ��です。
■行動療法
薬物治療を行い、症状がある程度軽くなった後で併用していくことがあります。強迫行為の種類や度合いを認識してもらい、強迫行為の回数を減らしていったり、強迫行為をしないで不安が過ぎ去るのを待つ練習などをしていきます。※治療法については個々の方の症状や体質によって異なりますので担当医にご相談下さい。
■周囲の対応と協力
強迫性障害の患者さんの行動がご家族や周囲の人には理解しがたい行動であっても「いい加減に止めなさいよ」「なぜそんなにこだわるの?」、「そんなこと気にしなければいいのに」といった助言は避けたほうが良いでしょう。家族や周りは自分のつらさをわかってくれないと心を閉ざしてしまうことがあるからです。患者さんも他人から自分がどう見えるかは分かっているし、自分自身、このこだわりが苦痛で止めたいのに、どうしても不安から止められないのです。そのため、家族や周囲が強迫性障害に気がついたときは、まず、患者さんの苦しみを少しでも理解してあげることが大切です。
しかし、その不安や苦しみを解消するといって患者さんの強迫行為などを周りが手伝ってしまうと、かえって逆効果になります。
病院やクリニックに受診するよう勧める際も、「心配や不安でとても疲れているようだから一度、病院(クリニック)で相談したほうがよいのではないか」というように言い方に工夫するとよいかもしれません。
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